エジプトには10%程度のキリスト教徒がいるといわれています。国民の1割ということで、なかなか大きな勢力であると考えて良いでしょう。約8,000万人の10%ですから、800万人くらいはいることになりますからね。
ちなみに800万人というと、スイスやイスラエル、オーストリアと同程度の人口ということになります。ということは、エジプトは国内に小国1国分のキリスト教徒を抱えているということになります。
ということで、イスラムの国というイメージのあるエジプトですが、実はそれだけではないと言うことです。
コプト教の教会はこんな感じみたいです。画像を拾ってきたwikiには「The Hanging Church in Coptic Cairo.」というキャプションがついていましたから、カイロにある教会みたいですね。
なぜエジプトにキリスト教徒がいるのだろう
でも、これって不思議なことだとだと思いませんか。
エジプトは7世紀の中盤からイスラムの国です。1,000年以上にわたってイスラム教徒が支配する地域で、どうしてこれだけのキリスト教徒がいるのでしょうか。
そして、このキリスト教徒はどこから入ってきて、いつころからエジプトに根付いているのでしょうか。
エジプトはキリスト教が主流の地域だった
まず、エジプトに住むキリスト教徒ですが、その多くがキリスト教の中でもコプト教と呼ばれるものを信仰しています。このコプト教ですが、東方教会に分類されるキリスト教らしいです。
東方教会というのは、現在ではギリシャや東ヨーロッパなどで信仰されているキリスト教です。いわゆるプロテスタントとかカトリックとはまた違う流れの中にあるキリスト教と言ってもいいかもしれません。
なぜエジプトのキリスト教が、地理的に遠い東ヨーロッパと同じ流れの東方教会にいるのでしょうか。これは、東西ローマの分裂と関係がありそうです。
クレオパトラで有名なプトレマイオス朝の滅亡以降、エジプトはローマ帝国が支配する地域でした。この時期にキリスト教が入ってきます。つまり、エジプトのキリスト教は、イスラム教以前からある古いものなのです。
その後395年にローマ帝国は東西に分割します。このとき、エジプトは東ローマ帝国に組み入れられました。この分割で東ローマ帝国側に入ったことで、東方教会に分類されるキリスト教として残ることになったわけです。
このあたりの宗教がらみの話は、日本人にはかなり難しいところですよね。なにせ、キリスト教というと、カトリックとプロテスタントしか無いと思っている人が多いですから。
イスラムの国では異教に対する強い迫害は少ない
昔からキリスト教があったとは言え、その教えが今に残っているのも少し不思議ですよね。イスラムの国になったのは1000年以上も前のですから、強い迫害にあって無くなっていても不思議ではありません。
実はイスラム帝国というのは、他の宗教に対して比較的寛容だったそうです。イスラム帝国内で生活するキリスト教徒やユダヤ教徒のことをズィンミーと呼び、信仰の自由などを保証していました。ズィンミーのことを、日本語では、庇護民と呼びます。
もちろん、ムスリムと完全に同じ条件で生活ができたわけではありません。ジズヤと呼ばれる人頭税を払う義務を負っていたり、不況の自由が無かったりしました。あるいは、新しい宗教施設を作ることも禁じられました。もちろん、イスラムに対する批判などもご法度でした。
このように厳しい条件はついていたものの、迫害されて強権的に潰されるというようなことはあまり無かったようです。例えば、中世のヨーロッパでのユダヤ教徒に対する迫害と比べれば、かなりマシな状態だったと考えられています。
ちなみに、現代のエジプトでも、異教徒に対する差別的な扱いは残っているようです。コプト教徒が宗教施設を建てようと思うと、そうとう大変なようなのです。
補足:テロのターゲットになりやすいようですね
ところで、コプトは近年、テロのターゲットになりやすいようですね。一応、イスラム教的には、同じ一神教のキリスト教徒は迫害したりしないはずなんですけどね。いわゆる啓典の民というやつです。
2016年の2017年の4月に教会が襲撃されています。イスラム原理主義の立場からすると、民間の施設としてはターゲットにしやすいのでしょうかねえ。異教徒だし。1
と思ったら、2017年11月にモスクを狙った大規模テロまで起こってしまいました。もう、何でもアリなんだな。
とりあえずツアーが楽かなあ
始めてエジプトに行くなら、とりあえずツアーが楽でしょうか。H.I.Sのツアーをチェックする限り、5日間で10万円ちょっとからという感じですかね。もちろん時期にもよるのでしょうけど。
あ、ちなみに、添乗員が同行するプランです。
興味がある人は、チェックだけでもいかがでしょうか。

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