エジプト考古学博物館にまつわるいくつかの問題

エジプトの有名な博物館といえば、エジプト考古学博物館です。ツタンカーメンの黄金のマスクが展示されている場所として知られています。

このページでは、この博物館に関しての気になることをチェックしてみたいと思います。個人的にいくつか疑問点があります。

The Egyptian Museum

日本語の名称の不思議

まず不思議なのが、日本語の名称です。「エジプト考古学博物館」という名称で呼ばれていますが、実はもともとも名前には「考古学」なんて入っていません。

アラビア語のエジプト方言でこの博物館をなんと呼んでいるかというと「イルマトハフ・ルマスリ」です。たぶん。

細かく分解すると、最初の「イル」は定冠詞です。「マトハフ」は「博物館」という名詞です。中点の後の「ル」は再び定冠詞ですね。そして最後の「マスリ」は、「エジプトの」という意味ですね。

このように、元々の名称には、考古学という要素は一つも入っていません。素直に約すなら、「エジプト博物館」でしょう。でも、

日本だと「エジプト考古学博物館」なんですよね。ガイド本やらウィキペディアやらの名称も、これで統一されています。

英語の名称はどうなっている?

それでは、英語の名称はどうなっているのでしょうか。アラビア語から英語になる段階で、名前が変わった可能性もありますよね。

ウィキペディアの情報を調べてみると、英語の名称は「Egyptian Museum」でした。これは、アラビア語のもともとの名称の直訳という感じですね。

ということで、やっぱり、日本語だけがおかしい状態でした。

ただ、解説の中身を読んでみると、面白い表現を見つけました。ちょっと引用してみましょう。

The Museum of Egyptian Antiquities, known commonly as the Egyptian Museum or Museum of Cairo, in Cairo, Egypt,

いきなり「The Museum of Egyptian Antiquities」という単語が出てきますね。これはエジプト考古学博物館という言い方にかなり近いものです。また、大文字で始まっていますから、間違いなく固有名詞ですね。

引用部分をちょっと訳してみましょう。「一般的にはエジプト博物館やカイロ博物館として知られる、エジプトのカイロにあるエジプト考古学博物館、」だいたいこんな感じでしょうか。

この説明文だけを読むと、「エジプト考古学博物館」が正式名称であるような書き方をしているわけです。

また、別のサイトで、次のような文も見つけました。

The Egyptian Museum, usually just called the “Museum of Egyptian Antiquities”, houses the world’s biggest collection of ancient Egyptian artifacts.

これを見ると、「The Egyptian Museum」が正式名称みたいですね。ということで、もう完全に迷宮入りしてしまいました。

エジプト考古学博物館の公式サイトでもあれば、正式な英語表記も分かるのでしょうけどね。以前はあったようですが、現在は閉鎖されてしまったようです。

また、Google などで検索してみると、「The Museum of Egyptian Antiquities」という書き方をしているサイトはあまり多くはありませんでした。

何にしても、英語から日本語に伝わるあたりで、おかしなことになった可能性が高そうですね。何にしても、現地の正式名称に近い呼び方をするなら「エジプト博物館」です。

本当のエジプト考古学博物館問題

名称のことは、まあそれほどたいした問題ではありません。多少の混乱があるだけですよね。

でも本当に問題なのは、エジプト考古学博物館の2011年の盗難騒ぎでしょう。どさくさにまぎれて、火事場泥棒があったのです。

ジャスミン革命と呼ばれた一連の中東での革命の際に、エジプトでも民主化の革命が起こっています。2011年のことですね。

このとき実際に、当時の独裁をしていたムバラク政権は倒れ、その後選挙を経て民主的な政権が誕生しました。もっとも、クーデターが起こり、その政権も1年の命でしたが。

さて、この革命の際に、エジプト考古学博物館で大規模な盗難が起こっています。いわゆる火事場泥棒があったわけですね。このとき失った収蔵品は、その後どうなったのでしょうか。

ウィキペディアでも一応説明されていますが、非常にあっさりしたものでした。

2011年エジプト騒乱では、略奪者が侵入した。その後、盗品が発見された。

そこで、英語版のウィキペディアを見てみましょう。もう少し詳細を知ることができそうです。

During the Egyptian Revolution of 2011, the museum was broken into, and two mummies were reportedly destroyed. Several artifacts were also shown to have been damaged. Around 50 objects were lost. Since then 25 objects have been found.

ちょっと長いですが、訳してみましょうか。

「2011年のエジプト革命の間に、この博物館を破壊して進入してくるものがあった。そして報告によると、2つの博物館が壊された。いくつかの人工遺物も損傷を負った。約50の文化財が失われた。ただし、25の文化財は見つかっている」

ということで、現在でも問題が解決したわけではないようです。そして、永遠に解決しない可能性もありそうです。

ちなみにロイターが、発見された文化財について記事にしています。2011年2月15日の記事ですね。

エジプト首都カイロの考古学博物館から文化財が複数盗まれた事件で、2月14日、盗品のうち数点が発見された。見つかったのは、約3000年前のひつぎの一部などだという。

ツタンカーメン王の木像、アメンホテプ4世の石灰岩製の像などは、依然行方が分かっていない。

まだ、全然未解決です。

移転問題

最後にもう一つ、エジプト考古学博物館は、老朽化しているという問題もあります。2015年8月にギーザの大エジプト博物館に、展示物が引き継がれる予定だったのだとか。

あれ?2015年8月って、とっくに過ぎていますよね。でも、そんなニュースを目にした記憶は、全くありません。

実はこの博物館、完成までには程遠い状況なのだとか。1 記事では「ツタンカーメンの呪い」なんていう冗談めかしたタイトルを付けていますが、お国柄でしょうね。

この感じだと、移転をするにはしばらくかかりそうです。


  1. 大エジプト博物館、完成の遅れはツタンカーメンの呪い?
    AFPBB News 2015年8月4日 []

とりあえずツアーが楽かなあ

始めてエジプトに行くなら、とりあえずツアーが楽でしょうか。H.I.Sのツアーをチェックする限り、5日間で10万円ちょっとからという感じですかね。もちろん時期にもよるのでしょうけど。

あ、ちなみに、添乗員が同行するプランです。

興味がある人は、チェックだけでもいかがでしょうか。

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