エジプトは経済的には意外と貧しい国| なぜ工業国に成れないのか不思議

エジプトに関して調べていて、非常に興味深かったのが、経済的には意外と貧しい国だと言う点です。

もちろん、そんなに豊かな国だと言う印象も無かったのですけどね。想像以上に貧しい国だなあと思いました。

なぜ?エジプトは意外と貧しい国

一人当たりGDP はかなり低い

世界経済のネタ帳というサイトがあるのですが、それによると、エジプトの名目GDP は世界で第39位でした。このサイトでは、200くらいの国(香港などの地域を含む)があるので、全体で見ると上位の方です。

といことで、この順位自体は、特に悪いものではありません。ただ、比較的上位にいる理由は人口が多いためだと考えられます。

一人あたりのGDPでみると真ん中より下

実際、一人当たりのGDP を見てみると、エジプトは121位にまで下がってしまいます。つまり、真ん中よりも下になってしまうのです。

アジアの国で言うと、インドネシアとかスリランカのちょっと下、フィリピンやブータンのちょっと上という感じです。

もちろん、最貧国とまでは言いません。でも、率直に言って、国民一人一人が豊かな生活を送れているとは考えにくい状況です。

個人的にはもう少し豊かなイメージがあったのですけどね。かなり意外でした。

近隣には豊かな国も

ちなみに、エジプトの近隣には豊かな国も多いです。

例えばイスラエルは、GDP としてはエジプトと同程度です。しかし、人口がエジプトの1割ほどしかいません。ということは、1人当たりのGDP はエジプトの10倍程度あると考えていいわけです。

あるいはサウジアラビアは、エジプトよりも人口が少ない国です。しかし、名目GDP はエジプトよりもかなり上なのです。

これは完全に、石油が出ている恩恵なのでしょうけどね。サウジアラビアに他に産業があるとは思えないですし。

他の産油国も、一人当たりのGDP で見ればエジプトよりも大きいところが多いでしょう。

また、地中海を挟んですぐ北には、イタリアもあります。イタリア経済は現在それほどよくはありません。それでも、一応G7の一つですし、エジプトとは比較になりません。

もちろん、エジプトと同程度かさらに貧しい国も近隣にあるのは事実です。しかし、この地域の中でも経済大国という印象は無いのです。

リソースはそろっているように思う

でも、エジプトが経済的に発展するためのリソースってそろっていると思うんですよね。もう少し経済的に発展していても、何の不思議もありません。

立地は明らかに有利

まず、地中海に面しているということは、ヨーロッパの国々とは交易がしやすい状況にありますよね。地中海を使えば海上輸送は容易ですから、ヨーロッパへの輸出が多くても不思議ではないでしょう。

視覚的に確認した方が早いでしょう。エジプトは次のような位置にあります。

具体的に言うと、エジプト第2の都市であるアレクサンドリアからイタリアの南部まで、1,000キロくらいしかありません。また、フランスやスペイン、トルコなどへも船を使った輸送が可能です。

水資源にも恵まれているはず

また、多くの人たちはナイル川の沿岸に住んでいますから、水資源もそれなりにあるわけです。中東の国としては、明らかに恵まれています。

ナイル川

さらに言うと、エジプトの人口構成は若い人が圧倒的に多いのだとか。具体的に言うと、65歳以上の高齢者は5%程度しかいないのだそうです。と言うことは、労働力には恵まれているはずですよね。

石油も一応取れる

エネルギーと言う意味でも、有利な条件にあります。

まず、エジプトでは石油が出ます。エジプトの産油量は、工業化をするには十分ではないかもしれません。

現在の水準だと、ちょうど国内で使い切る程度しか化石燃料は取れないようですから。工業化をしてさらに使用量が増えるとなると、ちょっと厳しいでしょう。

ただ、近くに産油国はたくさんありますからね。日本などと比べれば、はるかに優位な場所にあるはずです。

輸送コストを考えると、かなり安く手に入れることができるでしょう。

海上交通の要衝をおさえている

スエズ運河という海上交通の要衝を押さえていると言うのも、強みと言えるでしょう。エジプトからアジア方面への海上輸送も可能だと言うことです。

スエズ運河を航行するアメリカの原子力巡洋艦ベインブリッジ

スエズ運河を航行するアメリカの原子力巡洋艦ベインブリッジ

観光資源も揃っている

当然ですが、観光資源も揃っています。

ピラミッドやスフィンクスを知らない人は、あまりいないでしょう。世界的に有名な遺産が、カイロから十数キロのところにあるのです。

これだけでも、観光資源としては、他国が羨むレベルですよね。

それ以外にも、世界的な大河であるナイル川もあります。きれいな海もあるので、リゾート地としても向いているでしょう。

これだけ条件が揃って、なんで貧しいの?

ここまで見てきたように、エジプトというのは、どう考えてももっと豊かでもいいはずなのです。

率直に言って、何が問題なのかよくわかりません。これだけ条件がそろって、フィリピンなどと同じと言うのは、ちょっと考えにくいのです。

もうちょっと上手くやれそうな気がつよくします。

アラブ諸国やアフリカの中では工業化した国

ちなみに、今の状態でも、アラブやアフリカというくくりの中では工業化した国と言えそうです。在エジプトの日本大使館のサイトに、次のような記述がありました。

エジプトはアラブ諸国の中では比較的早い時期に工業化が開始され、基幹産業は歴史のある繊維産業、食品工業であり、そのほか組立を中心とした機械工業等の業種を有している。エジプト政府の統計によると、GDPに占める製造業の割合は、2011/12年度で16.2%であり、部門別には第1位である。次に大きな割合を占めるのが、鉱工業であり、エジプト政府の統計によると、GDPに占める同部門の割合は、2011/12年で15.5%である。

ここに書かれているように、エジプトはアラブの中ではもっとも早く工業化した国ということです。そして、GDP の内訳などをみても、工業は国内産業の中で一定の割合を占めています。

それでも、やっぱりちょっと物足りないですよね。現在のエジプトのリソースからすれば、もう少しできても不思議ではありません。

革命やクーデターを経て経済成長は鈍化

2000年以降のエジプトの経済成長率は、次のようになっています。ちなみに、もちろん実質の数字です。

  • 2000:5.38
  • 2001:3.52
  • 2002:3.19
  • 2003:3.19
  • 2004:4.09
  • 2005:4.47
  • 2006:6.84
  • 2007:7.09
  • 2008:7.16
  • 2009:4.67
  • 2010:5.15
  • 2011:1.78
  • 2012:2.22
  • 2013:2.10
  • 2014:2.16

これを見ると分かるように、2000年代は比較的安定した経済成長ができていました。特に2000年代の後半は、かなり勢いよく成長できていたと言っていいでしょう。

しかし、革命があった2011年以降は、新興国の成長率としてはかなり残念な状況と言えるでしょう。年率で2%程度の実質経済成長というと、先進国の成長率と大差ありませんからね。

経済成長という点だけで言うと、国民自らが遅らせてしまったという印象は拭えません。

とりあえずツアーが楽かなあ

始めてエジプトに行くなら、とりあえずツアーが楽でしょうか。H.I.Sのツアーをチェックする限り、5日間で10万円ちょっとからという感じですかね。もちろん時期にもよるのでしょうけど。

あ、ちなみに、添乗員が同行するプランです。

興味がある人は、チェックだけでもいかがでしょうか。

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