エジプトではアラビア語の口語と文語(フスハーとアンミーヤ)の使い分けがあいまいになってきている

別のページでも書いたように、アラビア語にはフスハーとアンミーヤの2種類があります。フスハーといのは、大雑把に言うと文語のことです。また、アンミーヤというのは各地の口語、すなわち方言のことです。

ただ、フスハーとアンミーヤは、単純に口語と文語と言うふうに分けられない部分も多いようです。アラブ人も結構悩むことが多いようですね。

「現代エジプトを知るための60章」という本によると、エジプトはアンミーヤが強い言語なのだそうです。他の国に比べて、アンミーヤが使われる割合が大きいようです。

例えば、テレビのニュースや書籍などなどでもアンミーヤが使われる試みが見られるようですね。でも、書籍にまでアンミーヤ使われたら、文語と口語と言う考え方では区別することができないですよね。

とにかく、アンミーヤとフスハーの線引きと言うのは、ネイティブスピーカーにとっても難しい問題のようです。

アンミーヤの書籍は難しいところもある

ところで、アンミーヤを書籍にするとなると、色々と大変な点もありそうです。一朝一夕でアンミーヤに変えられると言うものでもなさそうです。一番難しいのは、アンミーヤの表記の問題でしょう。

もともとアンミーヤは口語ですから、表記の仕方が定まっていません。ですから、それを決めるところからはじめないといけないのです。

どうも、アンミーヤを記述すると言うのが、意外と大変なことのようです。何が大変かと言うと、一人ひとりが勝手に文字を当てはめるので、同じ単語でも表記が異なる場合があるのです。

実際、日本で出ているエジプト・アンミーヤの本やエジプト・アンミーヤの解説サイトを見ていても、表記にかなりのばらつきがあります。ですから、受け手としては混乱することもあるでしょう。

それでも最近は、ある程度整理が出来てきたようですけどね。

日本語のカタカナ言葉でも表記の揺れはありますよね

一つ日本語で例を挙げて考えてみましょう。

日本語だと元々「V」の音はありません。ですから、元々の言語で「V」の音を含むカタカナ言葉だと、表記が割れることがあります。

例えば、「バイオリン」と書く人もいれば「ヴァイオリン」と書く人もいます。あるいは、「ビデオ」「ヴィデオ」とかね。

「ヴ」の表記がかっこいいと思ったのか、元々「B」の音だった単語でも「ヴ」で表記する人すらいます。「バス」の事を「ヴァス」とか書いてしまうのです。

こうなると、無教養をさらけ出しているだけなのですけどね。正直、みっともないですよね。

日本語の場合は外来語だけですが、アンミーヤを文字にするときにはもっとさまざまな問題が起きるわけです。昔から使っている言葉で表記に違いが出るのです。

ということで、表記を統一していくのは、なかなか大変そうです。

それでも、アンミーヤの表記のブレに関しては、おそらく、徐々に収束してきているのだとは思います。でも、エジプト・アンミーヤを完全に文字に起こせるようにするには、まだ時間がかかりそうな感じもします。

「V」の音は扱いが難しい

ちょっと余談ですが、「V」の音が存在しない言語と言うのは意外と少なくありません。主要な言語だと、中国語に「V」がありませんし、スペイン語にも無いはずです。ちょっと思い出せませんが、他にもいくつかの言語であったはずです。

そういう言語では、外国語の「V」を含む単語を取り入れるときには、別の音で置き換えることになります。日本語の場合は「B」の音で置き換えます。ですから、「violin」 は「バイオリン」になり、「voice」は「ボイス」になります。

しかし音声的に見ると、「V」の音は「F」の音と近い音です。ですから、「V」を「F」で置き換える場合もあります。例えばアラビア語だと、「television」は「テレフィズィヨン」と発音されます。

コプト教徒はフスハーに縛られる必要は無い

アンミーヤに関して話をちょっと複雑にしているのが、コプト教徒の存在です。コプト教というのは、キリスト教の東方教会系の宗派の一つですね。

アラブ人の多くがフスハーにこだわるのは、コーランがフスハーで書かれているからです。でもこれは、あくまでムスリムの話です。

同じアラブ人でも、コプト教徒のようなイスラム教徒以外の人にとっては、フスハーにこだわる理由はまったくありません。彼らにとっては、コーランは聖典でも何でもありませんから、当然ですよね。

しかも、エジプトには全人口の10%近くのコプト教徒がいます。人口にしたら800万人ほどです。

それだけの数がいたら、一定の影響力を持ってくるのは不思議ではないでしょう。

今後が気になるところです

ということで、アンミーヤの中でもエジプトのアンミーヤは、ちょっと特殊な存在であると言えそうす。もしかしたら、近い将来更なる台頭が見られるのかもしれません。

もしかしたら、エジプトでは、フスハーは宗教や国際会議でのみ使われる言語となる可能性すらありそうです。

とりあえずツアーが楽かなあ

始めてエジプトに行くなら、とりあえずツアーが楽でしょうか。H.I.Sのツアーをチェックする限り、5日間で10万円ちょっとからという感じですかね。もちろん時期にもよるのでしょうけど。

あ、ちなみに、添乗員が同行するプランです。

興味がある人は、チェックだけでもいかがでしょうか。

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